1729

1729

二人の偉大な数学者ラマヌジャンとG.H.ハーディの出会いと、生涯にわたる共同研究と友情を描いた映画「奇蹟がくれた数式」が10月22日から公開されるようです。

あまりにも有名なエピソードですが、ある日ハーディがラマヌジャンを見舞った際に、何の気なしに「今乗ってきたタクシーのナンバーは 1729 という、特に特長のない数字で、不吉なことの前兆でなければいいが」と言うと、ラマヌジャンはすぐさま「そんなことはありません。とてもおもしろい数です。2つの立方数の和として二通りに表すことのできる最小の数です」と応えたそうです。

私も千曲川の鯉西で 1729 のナンバーを偶然見かけたので、証拠写真をアップさせていただきます。一部ぼかしてあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは同じ時に同じ駐車場に駐めてあった、1111 のナンバーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、映画「奇蹟がくれた数式」公式サイト

 

その後、論考をまとめ、飯高茂先生の講座の中で発表させていただきました。よろしければご一読ください。

1729 の秘密――ラマヌジャンの1 秒間――

コメント

全く大したことではありませんが、1729 の小町算と逆小町算を作ってみました。

1729 = 12 * 3 + 4 + 5 * 6 * 7 * 8 + 9
1729 = 9 + 8 * 7 * 6 * 5 + 43 - 2 - 1

いちおう、二通りの異なる表し方、ということで。

複数の方から、上の小町算をどうやって思いついたのか聞かれましたので種明かしをしますと、まず

$7^3 = 343$

なので、それを 5 倍すると 1715 となって 1729 に近い数になりますよね? それで $7^3$ は $6 * 7 * 8\ $ $\ (= 7 * (7 + 1) (7 - 1) = 7^3 - 7)\ $ に近いので、$5 * 6 * 7 * 8$ は 1729 に近い数になるはずです。実際に計算して差をとってみると、

$5 * 6 * 7 * 8 = 1680 = 1729 - 49$

だから、残りの 49 を、1, 2, 3, 4, 9 を使って表せばいいことになります。9 は他の数と組み合わせられないので、49 から 9 を引いて 40。これを 1, 2, 3, 4 で表せばいいから、$12 * 3 + 4$ としました。

逆小町算は、小町算の式をそのままひっくり返すと 12 の部分だけはそのまま使えないので、4, 3, 2, 1 を使って 40 を表すために、$43 - 2 - 1$ としました。

小町算を簡単に作る方法としては、今年の1月5日に書いたブログ

「1993、2016、1984 をめぐって――日浦孝則氏とのやりとり」

とか

「実用的な素因数分解と巾、階乗など」

を見ていただくと参考になるかと思います。

それにしても、1729 を2つの立方数の和として二通りに表すことができることは、立方数になじんでいる方ならそう言われればすぐにピンときて確かめることはできますが、それでも自ら気づくのは大変なことだと思います。しかもそのような性質をもつ最小の数であることは、どうやって確かめたのでしょうか。興味深いですね。

私は小学生の頃、様々な数のベキとその差分を系統的に調べて面白い法則を見つけたことがありますが、その計算の中で、たまたま 91 が2つの異なる立法数の和と差でそれぞれ表すことができるという事実に気づいたことがあります。

$91 = 3^3 + 4^3 = 6^3 - 5^3$

この 91 は、2 桁の整数の中で、最も素数と間違えやすい合成数なのです。なぜなら、2 の倍数、3 の倍数、5 の倍数、11 の倍数は簡単な判定法があり、ひと目でそれとわかりますが、7 の倍数と 13 の倍数の見分け方はもう少し複雑なので、91 = 7 * 13 と素因数分解できることに気がつくのに時間がかかるわけです。残りの 2 桁の合成数はすべて上記の 2、3、5、11 のいずれかの倍数になっているので、ひと目で合成数だとわかるのです。

1729 がカーマイケル数(擬素数)であることとちょっと似てませんか?(もちろん、数学的には全く意味が違いますが ^^;)

91 は他にもいくつか面白い性質があり、その性質を使った数字の手品を考えたことがあります。これまで何度も種明かしも含めて披露したことがあるのですが、世の中に出ている計算術や数字のマジックの類の本では見かけたことがないので、これもいつか書き残しておいたほうがいいのかもしれませんね。

ところで、91 は 7 * 13 と素因数分解でき、1729 は 7 * 13 * 19 と素因数分解できるので、1729 は 91 の倍数ということになります。これは偶然なのか、それとも背後に何か数学的な意味が潜んでいるのか、不思議に思います。

あと、1729 の素因数である 7 と 19 は2つの隣り合う立方数の差です。

$7 = 2^3 - 1^3$
$19 = 3^3 - 2^3$

もう一つの素因数 13 は単独ではそのような性質はありませんが、上にも書いたように、7 * 13 も2つの隣り合う立方数の差です。

$7 * 13 = 6^3 - 5^3$

数字を眺めているうちに、次々に面白い式が出てきますね。

まとめるとこんな感じです。

$19 * 13 * 7\ = 12^3 + 1^3\ = 10^3 + 9^3\ = 1729$
$\ \ \ \ \ \ \ \ 13 * 7\ =\ \ 6^3 - 5^3\ =\ \ 4^3 + 3^3\ =\ \ 91$
$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ 7\ =\ \ 2^3 - 1^3$
$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ 19\ =\ \ 3^3 - 2^3$

改めて 1729 の素因数分解を眺めると、1729 は初項が 1 で公差が 6 の等差数列の最初の 4 項の積と見ることもできますね。

 \[ 1729 = 1 * 7 * 13 * 19 \]

ところで、隣り合う立方数の差は、必ず「6 * 三角数 + 1」の形にできます。なぜなら

\[ (n + 1)^3 - n^3 = 3 n^2 + 3 n + 1 = 6 * \frac{n (n + 1)}{2} + 1 \]

上のコメントの式が出てくる秘密はこのあたりにありそうな気がします。

ラマヌジャンという天才が歩いた跡には、たくさんの新しい数学の種がまかれています。真の天才にとっては、それは当たり前の事実であり、あえて書き残す必要を感じなかったことかもしれません。でもその種が育って開いた花は凡人にとっては時には美しい花であり、数学を理解するのに役立つ練習問題になることもあります。

これからも、そのような落ち穂拾いをしながら、気がついて面白いと思ったことを書き留めていきたいと思います。

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