"proportionality" の訳語について

"proportionality" の訳語について

2年前、『デジタル時代のコミュニケーション監視 (世界情報社会ウォッチ(GISWatch) 2014)』の一部を翻訳しました。

その中で 「監視との原則に基づいた闘い」を翻訳した際に、"proportionality" をどう訳すかに悩みました。英和辞典では「均整」「比例」などの訳語が並んでいますが、どうも文脈に合いそうにないので、「公正性」と訳しました。"proportionality" は以下のように説明されます。

コミュニケーション監視(盗聴)は、人権を侵害し、民主的な社会への脅威とみなすべきである。正当な利益に対する深刻な危険が確かに存在し、問題となっているコミュニケーションがその危険についての (人権侵害の恐れに見合うだけの) 情報をもたらすだろうと、裁判官が納得した場合を除いては、捜査目的のためのコミュニケーション監視を行ってはならない。

ところが、最近、日本弁護士連合会編『国際人権(自由権)規約第6回日本政府報告書審査の記録――危機に立つ日本の人権』(2016) を読んで驚きました。自由権規約に関連する用語として "proportionality" という言葉があり、この本の中では「比例性」と訳されていたのです。

でも、「比例性」では日本語として意味が通じにくいと思い、ウェブでいろいろ検索してみると、決まった訳語はないようですが、「均衡の原理」や「比例原則」などの訳語が見つかりました。残念ながら「公正性」という訳語は見当たらないのですが、訂正した方がいいでしょうか。「比例性」や「比例原則」と訳している例が意外に多いのですが、数学の比例とは違うと思うので、ちょっと抵抗を感じます。

ぜひ、他の方のご意見を伺いたいです。

コメント

むずかしいですね。

自信ないですが、「釣り合いが取れている」のが原義だとおもいますので、「分をわきまえていること」とか、「逸脱しないこと」とか、「慎重な判断」とかなのでしょうか。これらだと収まりがわるいですね。

杉本さん、コメントをありがとうございます。今、気がつきました。m(_ _)m

成原さんから教えていただいたのですが、法学では「比例性」や「比例(原則)」と訳されることが一般的のようです。

最初に訳した時にもとても悩んだのですが、問題は、英語の "proportion" には釣り合い、均衡という意味があるのに、日本語の「比例」にはそういう意味はないということなのです。法学で「比例性」や「比例(原則)」と訳されることが多いのは、英語と日本語の用語に一対一の対応を取るためと推測します (たとえば、「均衡」と訳すと、"balance" の訳語と重複してしまう)。

「比例性」と訳しても間違いじゃないとわかりましたが、その場合、一般の人に対しては説明をつけた方がいいでしょうね。

「釣り合いが取れている」ことを表すのに「比例性」という言葉を使うのはやはり違和感を感じますので、少し難しいですが「均衡性」が妥当かな、という気がしています。

箇条書きとして「○○性」「○○性」と並んでいる中なので今回は「均衡性」が落ち着くかなと思いますが、文脈によっては杉本さんの表現を活かした形がわかりやすいことがあると思います。他の方の意見を聞くのはとても参考になります。どうもありがとうございます。

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